天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 動揺で息を吸うのも忘れそうだった私をかばう陽貴さんは「失礼しました」と木藤先生の奥さまに頭を下げる。


「ごめんなさい。私、余計なことを……」

「いえ。木藤、退院ですね。次回は万全の態勢でお待ちしております」


 顔をしかめる奥さまに、陽貴さんは笑顔で対応している。

 その間、長崎先生は私に視線を送ったまま立ち尽くしていた。


 奥さまが一旦病室に戻っていくと、再び長崎先生が口を開く。


「倉田先生。なぜ彼女をかばうんです? 香月さんが執刀医の邪魔をしたという話は有名ですし、現に彼女はそれで大学病院を辞めたんですよね」


 あの医療ミスは長崎先生が留学していた間の出来事なので、詳しくは把握していないに違いない。


「彼女が大学病院を辞めたのは、ミスを被せられて傷ついたからだ。オペ室の師長も、よく組んでいたドクターも彼女が有能な看護師だったことは知っている」


< 317 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop