天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 呼吸をするだけで精いっぱいで言い訳すらできない私の代わりに、陽貴さんが強い口調で抗議した。


「有能なんて客観性がまるでありません。結果がすべてです」


 他のナースの前で大きな声で叱責されて、頭が真っ白になる。


「だから、ミスをしたのは彼女ではないと言っている。すべての責任は執刀医にある。それに、その話を今さら持ち出す意図はどこにある。香月はクラークとして十分すぎるほど俺たちの役に立っている。過去の話は関係ない」


 陽貴さんは震える私の腰をそっと抱く。
 励ましてくれていると伝わってくるが、顔を上げられなくなった。


「香月さんは、優秀なナースですよ」


 話に割り込んできたのは、退院のための荷物をまとめた木藤先生だった。


< 318 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop