天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 すると木藤先生がもう一歩近づいてきて口を開く。


「倉田の言う通りだな。香月さんの腕が確かなことは、近くで働いていた医療関係者が知っている。が、香月さんが有能である証明がどうしても必要なら、私のオペの器械出しをやってもらいましょう」


 木藤先生の提案にハッと顔を上げると、陽貴さんが「それは……」と首を横に振る。

 私の躊躇に気づいているからだ。

 私、逃げたままでいいの? 
 陽貴さんや木藤先生がこうしてかばってくれるのに、『できません』と目をそらしてもいい? それで後悔しない?

 自分に問いかけ、考える。


 強くなりたい。

 親友の難しいオペを引き受け、メスを入れる陽貴さんのように。

 家族のために強く生きようとしている木藤先生のように。

 そして、闘病生活に苦しみながらも、必死にリハビリに励む患者さんのように。


「お引き受けします」
「香月……」


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