天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「俺も今日は疲れた。木藤は問題なさそうだし、帰るよ」


 小声で「駐車場で」と付け足した彼は、私の頬に流れた涙をそっと拭ってから去っていった。


 それから待つこと二十分。
 なかなかやってこない彼を駐車場で待っていると、小走りで現れた。


「ごめん。医局で関先生に捕まって。あんなクラークいるか?って、興奮気味に季帆を褒めてたよ」

「私?」


 褒められるべきは難しい手術を成功させた陽貴さんでしょ?


「びっくりだよな。完璧に器械出しできるナースが目の前にいるのに知らなかったんだからさ」


 彼はクスッと笑いながら私を助手席に促して車を発進させる。


「完璧だったのは陽貴さんでしょ?」

「俺、手を止めたときちょっと取り乱してたんだよ。腫瘍をギリギリまで切除できると勘でわかってたのに、目の前の患者が木藤だと思い出して怖くなった」


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