天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「はい、倉田先生とは初めてでした。ですが、事前にいろいろ教えていただいたので」


 家で教えてもらったのは秘密だけれど、クラーク業務の合間にも気になる点は積極的に尋ねておいた。


「ほんと感心したわ。ナースに復帰するか迷ってるんでしょ? それだけの腕があるのにやらないのはもったいないよ。待ってるから前向きに検討してよ」

「ありがとうございます」


『待ってる』という温かい言葉に、私は笑顔を作った。



 木藤先生の容体が気になりICUに向かうと、陽貴さんがちょうど出てきた。

 奥さまに結果を報告したあと状態を確認してきたのだろう。


「香月、お疲れ」
「お疲れさまでした」
「大丈夫。安定してる」
「よかった」


 緊張が途絶えたからか、ジワリと涙があふれてきてあわててうつむく。


「よく頑張った。もう帰れるだろ?」

「はい」
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