天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 しばらく波打ち際ではしゃいでいると、ざわざわとした声が聞こえてきて顔をそちらに向けた。


「誰か助けて!」
「陽貴さん、あれ……」


 腰のあたりまで水に浸かった女性が、沖のほうに向かいながら叫んでいる。
 その視線の先には激しい波しぶきが上がっていて、人がいるとわかった。


「溺れてるんだ。季帆、お前は彼女を止めろ」
「うん」


 私たちは一目散に駆け寄り、陽貴さんは溺れている男性に向かってすぐさま海に飛び込んでいく。

 私は半狂乱になりながら深みに近づいていく女性を力任せに引っ張り、砂浜へと戻す。


「嫌っ。助けなくちゃ」

「あなたが行ってもふたりとも溺れるだけよ。彼に任せて。誰か浮き輪を」


 私たち医療従事者は、溺れた人の助け方なども学んでいる。

 とはいえ、陽貴さんが心配でたまらない。
 マニュアル通りうまくいくとは限らないからだ。

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