天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 これは挿入した気管チューブが抜けないように中に空気を入れてバルーンを膨らませ、気管との隙間をなくす処置だ。


「エア入れて」
「エア入れます」


 その作業が終わるとすぐさま男性がチューブを噛まないように、バイトブロックを噛ませた。

 まだまだ処置は続く。


「聴診器貸してください」


 陽貴さんがバッグバルブマスク――空気を送り込むための器具を装着して換気を始めると、聴診器を借りて両手が離せない彼の耳に装着する。

 そして聴診器を男性に当てるのは私の仕事だ。
 体の決まった場所に当て、陽貴さんが音を確認してうなずくたびに次の場所に移動していく。


「OK」


 空気が送り込まれているのを確認した陽貴さんから挿管成功の合図が出たので、気管チューブを医療用テープで固定した。


「私はこのまま付き添います。季帆、サンキュ」
「はい」


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