天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 いつもは照れくさくてうれしいなんて口に出さないから。

 沖縄に来て心も解放されているんだ、きっと。

 それは彼も同じようで、笑顔がとびきり柔らかかった。


 食事のあとはアメリカンビレッジで買い物を楽しみ、空が鮮やかな茜色に傾いてきた頃、サンセットビーチに向かった。

 手をつなぎ、ゆっくりと砂浜を歩く。
 髪をふわんと揺らす潮風が心地いい。

 隣の陽貴さんを見上げると、夕日のせいでオレンジ色に染まっている。

 思えば、結婚してからこんなに時間に追われることがないのは初めてだ。


「今日、ごめんな。パラセーリングでもやろうかと計画してたけど、時間がなくなった」

「ううん。こうして一緒に歩けるだけで幸せ。それに、陽貴さんのかっこいい姿見ちゃったし」


 病棟にいると処置の現場に出くわすことはあれど、緊急時に私の出番はない。
< 94 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop