天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 しかし舌の肥えたドクターお薦めとあって、口の中で溶けていくほど柔らかく、脂が霜降り状になっているのにしつこくもなく旨味が凝縮されていて、陽貴さんもそのおいしさに唸っている。


「さすがはドクター。いい店を知ってる」

「陽貴さんだってドクターでしょ?」


 彼が普段連れていってくれるお店は、有名なレストランからひっそり営まれている小料理屋までいろいろあるが、どこも頬が落ちそうになる。


「でも俺、季帆の手料理が一番だからなぁ」

「またまたー。よいしょしたってすごいものは出てこないよ?」


 私はまだまだレシピ頼りだし、急に腕が上がるわけもない。


「すごいものは店で食えばいいだろ。お前の愛情たっぷりの料理がうまいんだって」


 彼は時々さらりと私が喜ぶことをこぼす。


「うれしい」
「珍しく素直だな」


 そうかもしれない。
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