【完】セカンドマリッジライフ
可愛がっていた孫を心配していた定一さんは、利久さんの両親を説得してどうしても北海道に居る理由があれば利久は北海道に居続けてもいいのではないか?と提案したそうだ。
それがこの結婚話の始まりだ。
北海道で結婚をして幸せな家庭を築いているのならば、利久さんの両親もこれ以上口うるさく言い、東京へ彼を連れ戻すような事もなくなるだろう。
それが彼が私と結婚する利点で、私は自分を誰も知らない場所に行って名前を変えれる。 それが利点だ。
『利久は大きくなってから不愛想になってしまったが、本当は心根の優しい男じゃ。 雪乃ちゃん、利久をよろしく頼む。』
そう言ってあの日定一さんはニカッと笑った。 印象的な笑顔だった。
そうして私達は結婚を決めたのだ。私は私の為に、彼もきっと彼の為に。
けれどまさか利久さん自身は本気で私がここまでやって来る等と、夢にも思わなかったのかもしれない。