【完】セカンドマリッジライフ

…誰だろう。 電話が来るなんて久しぶり。 というのも北海道に来た時携帯番号は心機一転新しくしたのだ。 それから僅かな人にしか教えていない。

東京に居た頃の薄っぺらい関係の人間は全部切ったのだ。  そう言えばこの間ネットサイトで新しい猫と犬の玩具を注文したんだ。 もしかしたら宅配の人かもしれない。

おそるおそる電話に出て直ぐに電話に出なきゃ良かったと後悔した。

「…もしもーし…?」

「雪乃?! 雪乃か?」

聞き覚えのある声が耳に響くと、そっと電話を耳から離した。 胸がドキドキと驚く程速く時を刻む。

「あーー……はい。そうですけど」

「俺、分かる?」

「ごめんなさい。誰でしょう」

「薄情だなー。俺の声も忘れちゃった?琥太郎だよ」

「あー……」

本当は電話に出た瞬間分かった。 というか簡単に忘れられるものではない。私が初めて付き合った人で、何年も一緒に居た人だ。

けれどどうして今更琥太郎から電話が……?
新しい電話番号だって教えていないのに…。

< 220 / 284 >

この作品をシェア

pagetop