【完】セカンドマリッジライフ

そこまで言うと、利久さんの腕が私の体をぎゅっと抱きしめる。 温かい胸に包まれてついつい涙腺が緩くなっていく。

子供のように利久さんに背中を数回叩かれて、口から漏れる嗚咽を抑えきれない。

「勿論、雪乃は俺の奥さんだし一緒にずっと北海道でこの動物病院を守ってもらいたい。
でも俺はその生活の中で君の本当にしたい事は我慢はして欲しくないんだ。
雪乃はここが好きだって言うかもしれないけれど、何かの為に自分の可能性を潰してしまうのは勿体ないよ。
だからその上で話を聞いて返事をしてみたらいい。 大丈夫。 俺が一緒に居る」

「利久さぁん……ひーん」

「ぷ。子供みたいに泣きやがって。 本当に可愛らしいな」

細く長い指で私の涙を拭ってくれる利久さんの温もりと優しい笑顔。

頭ごなしに反対しない人だって知ってる。私の想いを尊重してくれるって。 ’一緒に居る’そう言ってくれる言葉がどれだけ心強かったか。

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