【完】セカンドマリッジライフ
「NYキャラメルサンド…そこかよ…」
隣に居た利久さんのツッコミが入る。 けれど彼は私の手をぎゅっと握りながら大声で笑いだした。
「申し訳ありません。沢口さんも東さんもわざわざ北海道まで来ていただいたのですが、妻がこう言うのならば僕は止める権利はありません…。
ほんっとうに君は…俺の隣に居るのが一番幸せなんて
嬉しい事を言ってくれる…」
沢口さんも琥太郎もそれ以上は何も言わなかった。
私の決意は固かった。 こうやって自分で何かを決めてハッキリと口にしたのは初めてだったかもしれない。
どうやって生きていたいか。誰と生きていたいか。 それを改めて考えたら、くっきりと利久さんの顔しか思い浮かばなかった。
それが答えだ。
私は特別な人なんかじゃなくったっていい。
沢山の人から称賛を受けなくてもいい。
加賀美 雪乃として、私が大切にしたい人と場所を守れる人間になりたい。
見つけたんだ、この北国で。 自分が本当に欲しかった居場所と小さな幸せでも笑える生活を。