【完】セカンドマリッジライフ
「せんせぇー…また来ちゃったんですよぉ。みぃーちゃんの爪が怖くって切れなくってぇ…」
「ええ、分かります。猫ちゃんの爪って切りずらいんですよねぇ。特に後ろ足が大変で。
あ、雪乃さんみぃーちゃんの事押さえてくれる?この子怖がりだから」
「はい!先生! みぃーちゃん怖くないよぉ~?大丈夫だからねぇ~」
ひと月前から利久さんの動物病院の助手として手伝いを始めた。 病院内では彼は私を雪乃さんと呼び、私は先生と呼ぶ。 …ちなみにプライベートでは全く名前は呼ばれた試しなし。
’利久先生が結婚した!’その噂は患者の家族内に瞬く間に広がってしまった。なんせこの病院はリピーターや常連客が多いのだ。
「雪乃ちゃんもすっかり仕事に慣れたみたいねぇ~。利久先生は結婚するし、こんな美人なお嫁さんを貰っちゃってみどり動物病院も華やかになっていいわねぇ~」
「そんな~ッあはは~。浅井さんこそお肌がぴっちぴちで羨ましいなあ。本当にお綺麗…!」
「ほほ、ほんっとうに雪乃ちゃんは口が巧いんだから、おばちゃん本気にしちゃいますよっと。
雪乃ちゃんは褒め上手で気分が良くなるわ」