【完】セカンドマリッジライフ

そして、私の働きぶりも中々評判が良い。 初めは身バレしたらどうしようと思っていたけれど、バッサリと切ったショートヘアーとスッピンに近いメイクの為まだモデル時代の事はバレていない。

患者の家族の多くが年配の方というのも救いである。

「雪乃さん、話に夢中になってないでしっかり押さえていて…!」

「はいぃぃ!」

利久さんの鋭い眼光が私にだけ見えるように飛んでくる。 思わずヒヤヒヤして変な汗をかいてしまった。

けれども裏ではちゃっかりと利久さんは私を褒める事も忘れない。
’思っていたより物覚えが良くて良かった’ 彼なりの称賛だと受け取っておく。

とはいえ、特別難しい仕事をしているわけではない。


先生である利久さんのサポートや助手。 検査や薬の用意。 入院動物のケアや、カルテの整理や診療代の清算。

ここは街医師であるからか重病の動物たちは余り来ない。 猫風邪だ。食欲不振だ。爪を切って欲しいだの細かな業務は沢山あったが、何より仕事をする毎日の中充実感を感じていた。

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