【完】セカンドマリッジライフ
彼女はすぐに’好き’だというのだ。 俺のように嫌いな物だらけな人間よりかはよっぽど良い事なのだろうけれど、武蔵の事も好きだしイチ達の事も毎日好きだと口にする。
病院に来院する動物達もすぐに好きだと言うし、常連のお客さんに親切にされれば子供のように懐いて好きだと口にする。
同じ物を見ている筈なのに、どうやら俺と彼女では見えている世界は大分違うらしい。
人々がついつい見落としてしまいがちな日常の小さな幸せを、見つけるのがとても得意だ。 羨ましくて少しだけ眩しい。
名前は雪乃だが、まるでその存在は雪原の大地を真っ直ぐに照らす太陽のようだった。 誰かを太陽だと思う事。それには既視感がある。
そこまで思い考えるのを直ぐに止めた。
「車で一時間の所に観光名所があるなんて最高。 私富良野は行った事ないの。」
「ああ、まだ花は咲いていないだろう。 もう少し温かい時に行けば最高なんだがな」
「えー?!そうなの?!行って見たーい!
この間近くの本屋さんでこの辺の観光スポットの雑誌を買い占めてきたの!
行きたい場所沢山ある!北海道は冬に雪が降るのも最高だけど春や夏も素敵なんですよねぇ~」