御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「彩佳さんは東堂さんが好きなんですか? だから、私に会いにきたんでしょうか」

私の問いに、彩佳さんがポカンとする。
それは〝ありえない〟とでも言いたそうな顔だったけれど……でも、東堂さんが好きじゃなければ、私にこんなことを言ってくる意味がわからない。

私も同じようにポカンとしてしまっていると、彩佳さんが複雑な顔で答える。

「晃成のことは好きは好きだけど……でも、私は私が一番好きだし。とりあえず晃成のことは無関係じゃないから後々面倒なことにならないように目を光らせてるだけ。本当に金に目を光らせる女は少なくないし、金うんぬん関係なく、面倒なやつもいるから。そういう時は私が出て行った方が話が早いの」

君島先輩が「そりゃあ、こんな綺麗な女に出てこられたら、相手の女は引くしかないもんね」と呟くように言うので、コクコクとうなずく。

東堂さんに付きまとっている女性がいた場合、たしかに彩佳さんが出て行けばすぐ終わる気がする。きっと、東堂さんにひどく断られるよりも早く済む。

……と、いうことは。

「もしかして、私のことも、勝手に私が東堂さんに付きまとって迷惑をかけてると思ったから、東堂さんのために排除しにきた……ってことですか?」

東堂さんと彩佳さんの関係はわからない。けれど、本人の言うように彩佳さんからは東堂さんへの恋心みたいなものは感じない。

なので、そういうことかな?と判断して聞いた私に、彩佳さんは少し歯切れ悪くうなずいた。

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