御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない
「たしかに、ショックは受けました。でも、こうしてわざわざ謝りにきてくださったので、もうそんなショック忘れました。東堂さんがお忙しいことはわかっています。それなのに私に時間を割いてくれた。優しい人なんだなって思いました」
真っ直ぐに私を見つめてくる瞳が、まだ私が受けた傷跡を探しているように思え、思わず笑う。
東堂さんの態度や眼差しで、相当気にしてくれていたんだとわかり、土曜日から胸の底でもやっとしていた霧が晴れていくのを感じた。
「そんな東堂さんがああいった態度をとるのだから、それなりに事情があるんだろうなって思うので。東堂さんの立場なら、あのお見合いを利害関係だとかそういった意味合いでとるのも当然だと思いますし。だから、もう気にしていただかなくて大丈夫です。なので、お見合いの件についての話は、これで終わりにしましょう」
そこまで謝ってもらう必要もないと思い、やや強引に終わらせる。
そんな私に、東堂さんは少し不満そうに眉を寄せたけれど、そのうちにふっと笑みをこぼした。
東堂さんの笑顔を見るのは初めてだったので、思わず凝視してしまう。元の顔が整っているからか、目が離せないような魅力があり惹きつけられる。
お見合いの席でも一度も笑わなかったので、なんだかとてもレアに感じた。
「〝春野ひなた。二十四歳。大卒後入社。趣味はジョギング〟」
東堂さんが突然並べた言葉がなんのことだかわからず驚いたけれど、そのうちに私がお見合いの際に出したプロフィールだと気付き、笑みがこぼれた。
わざわざ確認してくれたってことだ。
やっぱり、優しい人だ。