能力を失った聖女は用済みですか?
「なるほど。暑いと体が甘味より塩味を欲しますよね」

暑いと当然ながら汗をかく。
すると、体の水分が失われて塩分(ミネラル)が減る。
急激に塩分や水分が減ると、体調が悪くなる……熱中症だ。

「そうなんです。アッサラームでも時折、猛暑の中で訓練中の兵士に塩水を配ります。そうしないと、倒れることがありますので」

「塩分は重要ですからね」

「ええ。それで……」

アミードは前のめりになって、私を覗き込んできた。
その意味は「出来るか、出来ないか」を聞いているのだと思う。

「簡単ですよ。塩気があればいいんですよね?」

「え……ああ、はい。しかし、手間がかかるのでは……」

「大丈夫です。最後の行程で塩を足せばいいだけです」

「へ。それだけ?」

アミードが珍しく変な声を出したのを見て、シータがくっと口を押さえて笑った。
声だけじゃなく、顔もいつもと違って間が抜けている。
私は吹き出す寸前で、ぐっとそれを呑み込んだ。

「……っ……はい。それだけです」

要するに「塩芋けんぴ」にすればいい。
最後に絡める砂糖の中に塩を少し加えるだけで、あまじょっぱいルナシータの出来上がり、である。
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