能力を失った聖女は用済みですか?
「ルナねぇさまよっ!ルナねぇさまの力が戻ったのだわ!ありがとう、聖女様!精霊さんも力を貸してくれてありがとうっ!」

「おお!ルナさんの所業か!」

「ルナ様万歳!精霊万歳!」

シータの叫びを皮切りに、中庭では口々に、聖女と精霊を讃える声が聞こえる。
……なるほど、そうか。
ガラティアはこうしてシャンバラでの信仰心をもっと深めようとしたのだ。

『くくく。誉めよ、讃えよ!崇め奉るがよーい!』

なんだか、新興宗教の教祖が信者を増やそうとしているみたい……。
なんて考えたとは言えないし、言わない。
讃えられ、崇められることで強大になるのなら、その力でシャンバラを守ってもらえるからだ。

『それでは、どんどんいくぞえ!そーれそーれぇ!』

ガラティアは指先をくるんと回した。
すると、しとしとと降っていた雨がざぁざぁ降りになり、ひび割れのあった大地へと染み込むと、そこから新しい大地が隆起した。
新しい大地は乾いた大地を飲み込み、肥沃した土から緑の植物が頭を出す。
草や木が。
花や実が。
シャンバラの死んでいた大地は、ほんの数秒で鮮やかに甦ったのである。

「すごい……」

私は思わず呟いた。
中庭でも、シータ達が狂喜乱舞の大騒ぎだ。

『ふふん。それほどでもないが。そら、もっと上へ行くぞえ。シャンバラ全土を眺められる場所まで、な』

その指示に、ディアーハは上昇し、雨雲ギリギリの所まで移動した。
もう中庭は彼方にあり、シータ達は豆粒ほどにしか見えない。
あまりの高さにクラクラしながら、私は遠くに目をやった。

「緑が……あんなに干からびていた茶色の大地が……緑色に……」

キドニー方面やアルバーダ方面も鮮やかな緑。
街道沿いは植物で溢れ、乾いた水路に滔々と水が流れている。
私が初めて見たシャンバラとは全くの別物、まるで違う世界に迷いこんだようだ。
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