能力を失った聖女は用済みですか?
「何をしたんだ?すごい音がしたが……まぁ助かった……あ、いや、助かってないな」

「は?助かってますけど……」

約束を反故にする気じゃないでしょうねぇ?
そう思い睨むと、男は集落を振り返った。

「あっ!みぃつけたっ!」

声がする方を向くと、小さな男の子が得意気に男を指差している。

「あー……見つかっちまったなー。仕方ない、オレの負けだ負け!」

「うわーい、やったぁ!打ち取ったりー!」

嬉しそうに叫ぶと、男の子は集落の中へと駆けて行く。
かくれんぼの途中だったのかな?
でも……外に逃げるのはルール違反じゃないの?

「お前、村の人間か?」

突然男に話しかけられ、私は慌てた。

「あ、え、えーっとぉ……」

あからさまに怪しかったのだろうか?
男は首を捻り言った。

「村の人間がこんなところから入ろうとはしないよな?」

「……はい。村の人間ではありません……二つ向こうの集落からやって来まして……」

嘘は一つも言ってない。
正しくもないんだけど……。

「アルバーダから?歩いてか!?」

「アルバーダ?……あ、はい!そう!そのアルバーダ!です」

「そうか……それは大変だったろう」

「ええ。大変でした……」

それは嘘。
ディアーハの背に乗っていただけで、たまに居眠りもしていた……ごめんなさい。
しかし、私の大嘘を聞いて、男は突然優しくなった。

「ここは日が暮れるとすぐ冷える。早く中に入るといい。ちょうど補給部隊が来ているから、食料や水を貰え」

「あ、ありがとうございます。あ。それからさっきのお願いを……」

「おっと!そうだったな。大丈夫だ、忘れてない。まぁ、とりあえず入れ。それからだ」
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