能力を失った聖女は用済みですか?
前を颯爽と駆けるカイエンの背を見つめ、私は呟いた。
15歳で王になり、家族も亡くし、荒れた国を復興する中での自然災害……。
悲嘆に暮れる暇もなく、歩み続けることを強要されるなんて、あまりにも酷い。

「しかし、カイエン様は落ち込んだり、泣き言一つ言いません。いつもほら、あの通り。笑顔で皆を鼓舞してくれる。だから、大地がこんな状態になっても民は希望があると思えるのです」

シスルに促されカイエンを見ると、大きく片腕を上げ号令を出したところだった。
それは力強く生命力に満ちていて、思わず見惚れるほどの王者の風格である。

「若いのにすごいですね……」

「ははっ、そうですね。まぁしかし、一度恐ろしいくらい激昂したことがあります」

「何かされたんですか?」

あんなにニコニコしているカイエンを怒らせるなんて、一体どんな人なんだろう?
私は、シスルの言葉を待った。

「……ロランに聖女を派遣して欲しいと願い出たのですが、断られて……」

え……?

「使者が持って帰った親書を読むなり破り捨てたんです……何が書いてあったのかわかりませんが、カイエン様が、ロランの聖女を恨んでいるのは間違いないでしょうね」
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