能力を失った聖女は用済みですか?
「お、おい……」
カイエンが慌てて声をかける。
「すみま……せん……ちょっと、なんか、もう、悔しくて……」
そう返すと、黙ったカイエンが、そっと私の頬に手を触れた。
「わかるよ。オレも親書を読んだ時、悔しくて悔しくて仕方なかった。別に聖女の力を信じてる訳じゃないが、来てくれるだけでも民の心は癒せたのに……」
「……すみません」
つい謝罪の言葉を漏らした。
謝ってもどうしようもないし、カイエンだって意味がわからないだろう。
でも、自分が何も知らないことが辛くて。
精霊に聞けば各地の状況はわかったはずなのに、私はそれをしなかったのだ。
「お前は優しいな。そんな女は世界に二人だけだと思っていたが……三人目だ」
「やさ……優しくなんて……」
やっぱり謝罪を取り違えたんだ……そう思った途端、フワリと大きな手が頭を撫でた。
ビックリして見上げると、人たらし王が、余すことなくその能力を発揮し微笑んでいる。
年下のクセに、この余裕と包容力。
これは、ナイスミドルにも負けないんじゃない?
そんな風に茶化さないと、心を全て持っていかれそうで怖い……。
カイエンが慌てて声をかける。
「すみま……せん……ちょっと、なんか、もう、悔しくて……」
そう返すと、黙ったカイエンが、そっと私の頬に手を触れた。
「わかるよ。オレも親書を読んだ時、悔しくて悔しくて仕方なかった。別に聖女の力を信じてる訳じゃないが、来てくれるだけでも民の心は癒せたのに……」
「……すみません」
つい謝罪の言葉を漏らした。
謝ってもどうしようもないし、カイエンだって意味がわからないだろう。
でも、自分が何も知らないことが辛くて。
精霊に聞けば各地の状況はわかったはずなのに、私はそれをしなかったのだ。
「お前は優しいな。そんな女は世界に二人だけだと思っていたが……三人目だ」
「やさ……優しくなんて……」
やっぱり謝罪を取り違えたんだ……そう思った途端、フワリと大きな手が頭を撫でた。
ビックリして見上げると、人たらし王が、余すことなくその能力を発揮し微笑んでいる。
年下のクセに、この余裕と包容力。
これは、ナイスミドルにも負けないんじゃない?
そんな風に茶化さないと、心を全て持っていかれそうで怖い……。