能力を失った聖女は用済みですか?
夥しい蹄の音を響かせながら、カイエン率いる補給部隊が帰ってきた。
集落で苗を植えるのを手伝ったのか、部隊全員泥だらけで、若干表情も疲れている。

「お帰りなさいませ!カイエン様!」

イズールや居残り組が、サッと立ち上がりカイエン達に走りよると、子供達も我先にと追いかけた。

「ああ。留守番ご苦労。皆、良い子にしていたか?」

カイエンは、イズール達を労うと、すぐに子供達に笑顔を見せた。
子供達は、押し合いながら口々にカイエンに話しかけ、広間は一気に騒がしくなった。

「うん!良い子にしてたよ!皆で一生懸命働いたんだ!イモ掘りもしたんだよ!」

「菜園におイモが、いーっぱい出来たの!」

「だからね、それをね、ルナシータにして……」

「皆に配って、皆で食べたの!」

きゃあきゃあと楽しげに話す子供達の中心で、カイエンは唖然としている。
たぶん、言っていることが何一つわからないんだと思う。

「こらこらお前達、ちゃんと順序立てて言わなければ、カイエン様がわからないだろう?さぁ、説明はルナさんに任せて、荷車へお土産を見に行くといい」

イズールが言い終わる前に、子供達はシスルがいる荷車へと駆け出した。
その後、カイエンが私に向き直った。

「今のはどういうことだろうか……」

「ふふっ。はい、ちゃんと説明しますね。その前に泥を落とした方が良いですよ?」

「おっと、そうだな。苗は全て配り、植えてきた。一週間位したらルナに同行してもらうからな」

「はい。もちろんです」

確認を取ると、カイエンは一旦着替えに王宮の奥へと消えた。
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