能力を失った聖女は用済みですか?
一刻の後、倉庫でイモの在庫を数えていると、カイエンが呼んでいると連絡が来た。
先程の件だと思い、保存していたルナシータを小袋に詰めると、私は王の部屋へと向かう。
ルナシータを持っていく理由は、実物があった方が説明もしやすいし、疲れて帰ってきたカイエンに、糖分で疲労を吹き飛ばして貰いたい、そう思ったからだ。

「カイエン様?ルナです」

侍女に案内してもらい部屋の前でお伺いを立てると、部屋の中から「入れ」と声がした。
重厚な扉を開けた先にあるカイエンの部屋には、白いカーテンが波のようにはためいている。
その波を泳ぐように進むと、椅子に座るカイエンが見えて、私は思わず息を呑んだ。
書類を見ながら一人考えを巡らせる姿は、いつもの若く溌剌としたカイエンではなく、ずっと大人に見えたのだ。

「ルナ?どうかしたのか?」

ぼーっとしていると、いつの間にかカイエンがこっちを向いていた。
私は急いで彼の側へと歩み寄る。

「い、いえなんでもありません……あ、そうだ!先にこれを渡しておきますね!」

「……なんだ?」

私が差し出した小袋を覗き、カイエンは首を傾げた。

「これが子供達の言っていたものの正体、巨大イモを加工したお菓子、ルナシータです」

「巨大イモ……お菓子?ルナシータ?」

「はい!カイエン様達が苗を届けに行った後、王宮菜園でイモが急激に成長したんです!もう、普通じゃない大きさにっ!」
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