能力を失った聖女は用済みですか?
豊作過ぎて、子供達全員駆り出してイモ掘りをしたこと。
採れたイモで調理をしたこと。
保存が利くように「ルナシータ」を作ったこと。
身振り手振りで熱く説明する私に、最初は驚いていたカイエンは次第に笑顔になっていった。

「そうか!すごいな!菜園でそんなことが起こっていたとは……それに、菓子にするというお前の発案も見事だ!これなら集落の方も期待出来るかもしれないな」

「はい!きっと大丈夫ですよ!あ、カイエン様、ルナシータ食べてみてください!甘いものは疲労回復に効果的ですよ?」

「あ……うん」

カイエンは手元の小袋から、ルナシータを一本取り出すと、それを上に翳した。
それから、色んな角度から見て匂いを嗅ぎ、じっと私を見る。
まるで、食べるのを迷っているかのように。

「どうしたんですか?そんなに心配そうな顔して……」

言ってから、不意に私は思い出した。
シャンバラの内乱で、王族が争った事件。
カイエンの身内は、暗殺や毒殺をされていたのだ。
おそらくそれで、食べるのを躊躇っているのでは?
出会って数日の得体の知れない女が作ったものなんて、確かに信じられないと思う。
でも、それなら……。

「カイエン様!私にも下さい!」

「えっ?」

驚くカイエンから小袋を奪いとると、私はボリボリとルナシータを貪った。
食べても安全だと知って貰うには、食べる姿を見せるのが一番だ。
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