能力を失った聖女は用済みですか?
「ほら、大丈夫です、カイエン様。毒は入ってませんよ?」
「お前……知っていたのか」
「はい。カイエン様の生い立ちは、シスルさんに聞きました」
「そうか」
一言呟くと、カイエンは儚く笑った。
「……お前を信じてないわけじゃないんだ。だが、どうしても思い出すんだ。オレがこの王宮に戻った時の悲惨な状況を……倒れる兄達の姿と母の姿を」
15の少年が、累々と積み重なる親族の死を前に何を思ったのか。
それを推測することは出来ない。
でも、間違いなく心の傷として深く残ってしまっているのだ。
王宮で立ち竦む少年カイエンの姿を想像し、私の胸は痛む。
「最後に残ったオレは、決して死んではならないと己に誓った。だから……」
「ええ。わかります。でも、カイエン様。ここにはあなたを殺そうなんて人、一人もいませんよ。私は新参者で、信用もありませんけど、シャンバラとカイエン様を助けたい気持ちは皆と一緒ですから」
「ルナ……」
「……食べて、みませんか?私の食べかけですけど……」
小袋をおずおずと差し出すと、カイエンが笑った。
それは、太陽のような笑顔。
カイエンだけが見せる王者の笑みだ。
「ありがとう。やはりお前は、優しくて聡明だ。オレの見立ては間違っていなかった」
「……えーと、どういう意味です?」
「ふっ……今は聞くな」
不敵に微笑むと、カイエンはパクっとルナシータを口にいれた。
「お前……知っていたのか」
「はい。カイエン様の生い立ちは、シスルさんに聞きました」
「そうか」
一言呟くと、カイエンは儚く笑った。
「……お前を信じてないわけじゃないんだ。だが、どうしても思い出すんだ。オレがこの王宮に戻った時の悲惨な状況を……倒れる兄達の姿と母の姿を」
15の少年が、累々と積み重なる親族の死を前に何を思ったのか。
それを推測することは出来ない。
でも、間違いなく心の傷として深く残ってしまっているのだ。
王宮で立ち竦む少年カイエンの姿を想像し、私の胸は痛む。
「最後に残ったオレは、決して死んではならないと己に誓った。だから……」
「ええ。わかります。でも、カイエン様。ここにはあなたを殺そうなんて人、一人もいませんよ。私は新参者で、信用もありませんけど、シャンバラとカイエン様を助けたい気持ちは皆と一緒ですから」
「ルナ……」
「……食べて、みませんか?私の食べかけですけど……」
小袋をおずおずと差し出すと、カイエンが笑った。
それは、太陽のような笑顔。
カイエンだけが見せる王者の笑みだ。
「ありがとう。やはりお前は、優しくて聡明だ。オレの見立ては間違っていなかった」
「……えーと、どういう意味です?」
「ふっ……今は聞くな」
不敵に微笑むと、カイエンはパクっとルナシータを口にいれた。