能力を失った聖女は用済みですか?
「カイエン様!ちょっと失礼します」

言うと私は立ち上がる。

「えっ?どこに行くんだ?」

「プリンを貰ってない子供がいるみたいなんで、持っていってきまーす!」

「こ、子供!?お、おいっ!」

驚くカイエンを置き去りにして、私はプリンを掴みイモ畑へ駆け出した。

古い倉庫と新しく建築中の倉庫の前を小走りで通り抜け、開墾地のイモ畑に着くと、少女はど真ん中で楽しそうに歌い踊っていた。
薄紫の軽やかなドレスが緑の波の上でヒラヒラと揺れる。
シャンバラの子供達とは少し衣装が違う?
そんな違和感を抱きながら、近付いてみると、少女が立ち止まりこちらを見た。

「ねぇ、あなたプリンは貰った?」

「プリン……ふふ。可愛い名前じゃの」

少女は質問に答えずに、花が溢れるように微笑んだ。
だけど……どうも喋り方がババ臭い。
おばあちゃんっ子だったのかな?そう納得して少女を見ると、また違和感に襲われた。
瞳の色が、ドレスと同じ薄紫。
シャンバラ国の人は、カイエンを始め皆、瞳の色は程度の違いはあれ緑色である。
少女はどう見てもここでは私と同じ異邦人だ。
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