能力を失った聖女は用済みですか?
「集落の子供?ここに住んでるの?」

「まぁの。いろんな所に住んでおるよ」

「それ、どういうこと?」

少女の珍回答に、私はしこたま首を傾げた。
ここにも住んでて、いろんな所にも住んでる……ジプシーか!?
色々と考えみて、漸くある一つの結論に達した。
考えられる答えはこれだ。
たまたま、違う開墾地へ向かうのに偶然このキドニー集落に立ち寄った。
それなら、いろんな所に住んでるという珍回答の説明がつく。

「いろいろ大変だねぇ……頑張ってね」

考えを自己完結させると、持ってきたプリンを少女に渡した。
すると、少女はまじまじとそれを見つめ私に言った。

「うむ。もう少しじゃな」

「も、もう少し……って何が?」

……謎かけですか……?
いや、もしかすると「このプリン、まだ何か足りないよ?もっと美味しくなるよ?」っていうダメ出しかも?

考えあぐねていると、突然少女が叫んだ。

「信じよ!讃えよ!妾は期待されると頑張りたくなる性格じゃ!」

「……え?え?ええっ!?」

もう、何がなんだかさっぱりわからない。
言葉を失う私を見て、少女はクスクスと笑ってプリンを持ったまま踊りだした。
軽やかに飛ぶように、蔓の上をヒラヒラと舞う姿は、おイモの精霊が降臨したかのようだ。
だけど、少女は精霊じゃないと思う。
ロランで私が見ていた精霊と、この少女は全く異なっている。
精霊は半透明でフワフワと宙に浮き、人の形は取るけど不安定ですぐに形を崩してしまう。
それに比べて少女ははっきりとした人型である。
こんな精霊は見たことない。
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