能力を失った聖女は用済みですか?
キドニー集落での倉庫建築は、カイエン達の頑張りにより、夜半過ぎには終了した。

その日は集落に一泊し、次の日の朝、アルバーダへと向かう。
馬上で揺られながら、例の件について、どうやってごまかそうかと必死に考えた。
でも、上手いかわし方は思い付かない。
カイエンより先にハシムを見つけて「内緒にして下さい!」と頭を下げるしかないような気がするけど……。
それはハシムに、王様にウソをついて、と言ってるようなものだ。
カイエンのことを尊敬しているような口振りだったから、たぶん了承してくれないと思う。
ああっ!
私は一体どうすればーー!

良い案が全く思い付かないまま、第一部隊はシャンバラの最果て、アルバーダ集落に着いてしまった。

「おや?何か様子がおかしくないですか?」

後ろのシスルがカイエンに言った。
見ると、アルバーダ集落の入り口の柵が半分外れている。
カイエンは馬を駆け、集落の入り口に急いだ。

「前回来たときは壊れていなかったな?」

「はい。異常はありませんでした」

眉間に皺を寄せる二人を見て、私も頷いた。
ハシムに付いて集落の中に入った時、入り口は壊れてなかった。
補給部隊が苗を持って行った時も異常がなかったのなら、それ以降に壊れたことになる。

「確かめてみよう。何か起こってるのかもしれない!急げ!」

「わかりました。第一部隊、馬を降り、集落へ入る!」

シスルの号令に、全員が馬を降り、陣形を整えながら慎重に集落へと入った。
内部は閑散としている。
最初に来た時も、静かで人も殆ど見なかったけど、今日程ではない。
ゴーストタウン、という名が相応しいくらいの寂れようだ。
これは、何かが起こっている。
私達は全員、そう感じて中へと進む。
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