能力を失った聖女は用済みですか?
「驚いているよ……だが、それは大した問題じゃないんだ」

「どういうことです?カイエン様、聖女のこと嫌ってたじゃないですか?それが、大したことないなんて……」

バレたら大変なことになるって思っていた。
シャンバラにはいられなくなるだろうとも考えていた。
なのに、違うの?

「聖女であろうがなかろうが、ルナという一人の人間を知ってしまったオレ達には、そんなの関係ないということだ」

「一人の人間……」

「聖女であったからといって、ルナはルナ。何も変わらない、オレ達は家族だよ」

「カイエン様……」

周りを見ると、第一部隊の皆もシスルもハシムも、カイエンと同じ表情で微笑んでいた。
何も変わらない、ずっとここにいていいんだよ?と、そう言っているように。
張り詰めた気持ちが一気に緩み、私はその場に座り込んだ。
すると、カイエンと目線が同じになり思わず二人で笑い合う。
……そうか。
そうなんだ。
聖女じゃなくても、力なんてなくても私の居場所はここにある。
必要としてくれる、必要とする人がここにいる。
ふわふわと暖かい気持ちになっていた私は、不意にあることを思い出してしまった。
< 94 / 204 >

この作品をシェア

pagetop