先生と生徒の関係
宝物
2月。
一年に一回のビックイベント…
バレンタイン 

渡す人は本命一人しかいない。

バレンタインまで残り3日
何を渡そうかな
渡すのやめようかな
何を作ろうかな

こんなことを考えてるうちに
バレンタイン当日
結局ガトーショコラを作ることにした。
先生だから思いは伝えれるかわからないけれど、今まで作った中で一番美味しいものを作ろう!見た目がいいものを作ろう!と思いながら楽しくできた。

ガシャ
「川中!今日なんの日か知ってる?」
「何いってんの?」
「受験終わってボケちゃったかw」
「いや、違うよー」
「今日なんの日かもしかして知らないの」
「わからん」
「今日ね、バレンタインなんだよ?」
「もう14日か!」 
「忘れてた」
「あのね、川中に渡したいものがあるの」
「なになに?もしかしてチョコ?」
「そー!チョコ!ガトーショコラ作ってきたの」
「食べてほしい!」
「家帰ってから食べるね」 
「ありがとう」 
「川中?これ本命だから」

静まって空気が重くなってしまった
時間がたってから
「そっか。ありがとう」
気まずくなって帰った。
「バイバイ」

本命って言ったことに今更後悔した。
退塾するまで残り2週間なのに気まずいのは嫌だ!
次会うときは明るく話しかけに行こ!
と気持ちを切り替えた。
 
「川中。ガトーショコラどうだった?」
「美味しかった!」
「もっと食べたかったなw」
「ほんとに思ってる?」
「思ってるよ」
「なら良かった」
「ありがとね」
「なんかいつもありがとうだね」
「だってありがとうしか言えないもん」
「そっか」
「あっ!これお礼の手紙」
「家帰ったら読んでほしい」
「今、読みたい」 
「ダメだよ。恥ずかしいから」
「わかった」
「じゃー早く帰るね」
「はい。さよなら」
「さよなら」

早く読みたすぎて足を早く動かし向かい風で息切れしながら家に帰った。

手紙
「るあさんへ
バレンタインチョコありがとう。もう少しで塾も終わるね。受験勉強すごく大変そうだったけど受かって良かったね。僕もすごく嬉しかったよ。この3年間いろんなことがあり、一緒に楽しんだり、笑ったり、泣いたりもしたね。これから高校生になって友達も増えて塾のことなんて忘れてしまうかもしれないけれどこの楽しかった日々を忘れてほしくありません。るあさんは僕の趣味のバイオリンにすごく興味を持ってくれて嬉しかったです。いろんなことを共感したりしてくれて生徒の中でもすごく話しやすかったし一緒にいて楽しいと思いました。今までありがとう。高校生頑張れ!!」

読んでる途中に涙が止まらなくなってしまった。3年間のことを思い出す手紙ですごく嬉しかった。川中が手紙を書いてくれるなんて思ってもいなかったから大切な宝物になってよかった
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