すてきな天使のいる夜に〜2nd Sstory〜
「そっか。」
「それがきっかけなのかは分からないけど。
でもきっと、欲しい物を諦めてきたから特別欲しいっていうの気持ちがどんなものなのか忘れたのかもしれない。」
大人になるに連れて、物を見る目はもちろん変わってくる。
気持ちや感情だって大きく変化する。
「欲しい物が欲しいって言えずに沙奈は育って来たんだね…
たしかに、私もそんな風に育てられていたら欲しい物なんて無くなっちゃうかもしれない。
だから、沙奈が変ってことではないよ。
私で良ければ、沙奈が本当に欲しい物に巡り合うまで、沙奈のお買い物に付き合うよ。」
「え?」
「沙奈とお買い物するの、すっごく楽しいもん。」
「本当に?」
「うん!隣に一緒に並んで歩いてくれてるだけですごく自分が特別に感じる。
こんな可愛い子と歩いてるんだよ?
それに、沙奈といると本当の自分でいられる。
そんな素でいられる存在は、中々出会えないって思ってるの。
沙奈はそんな、大切な親友だよ。」
「奈子…
ありがとう。私も同じだよ。
奈子と一緒だと、何でも話すことができる。
だから、心がとても楽になる。」
姉妹同様の存在である奈子。
私の気持ちを理解してくれる存在。
「それじゃあ、そろそろ帰ろうか。」
たくさん奈子と話をして、気付いたら夜の7時をまわっていた。
「そうだね。」
私達は駅のホームへ向かい、家の最寄り駅まで着くと奈子と分かれた。
暗い夜道の中、空には満天の星空が浮かんでいた。
「空気が美味しい。」
深呼吸をすると、透き通った空気が心の中に染み込んでいくような気持ちになりスッキリすることができた。
それから、歩く事20分無事に紫苑や翔太の待つ家へ着いた。
「ただいま…
あれ?」
玄関には、大翔先生の革靴が紫苑と翔太の革靴の隣に綺麗に並べられていた。
急いで皆のいるリビングへと向かう。
「沙奈、おかえりなさい。」
「沙奈、おかえり。
帰る時はちゃんとメールしてって言っただろう?
暗い夜道を1人で歩いて来たのか?」
大翔先生の元へ向かおうとした足を紫苑に止められた。
「紫苑…。
ごめんなさい。」
「いいよ。無事に帰って来てくれてよかった。
疲れただろう?
手を洗ってうがいをしてきな。」
「うん。」
手を洗いうがいをしてから、大翔先生の元へ向かった。
「沙奈、こっちにおいで。」
返事をするよりも先に、身体がふわっと浮かび大翔先生の腕の中に包まれていた。
「帰って来たばかりだから汗臭いよ?」
「臭くないよ。沙奈の匂いがする。」
「せめて、シャワーだけ浴びてもいいですか?」
「えー…。一緒にお風呂入るか?」
「えっ?」
「大翔、それはまだ許さないぞ。
俺でさえ、沙奈の身体は見たことがな…」
紫苑は言いかけてから口を押さえていた。
見たこともないくらいに紫苑の顔が真っ赤になっていた。
そんな紫苑が心配で、大翔先生の膝から降り紫苑の顔を覗き込んだ。
「紫苑?どうしたの?」
「沙奈、ごめん。今はダメだ…。
そんな至近距離で見つめないでくれ。」