毒蝶
言って気付いたが、これはもう告白しているようなものじゃないか。


彼女は照れたのか、顔を見せてくれない。


「ご、ごめん、今のは聞かなかったことに……」


僕の言葉は、彼女が僕に唇を重ねたことで遮られた。


今の話、聞いていなかったのか……?


「……私、もうあなたの優しさに惹かれてる」


理性という紐は簡単に切れてくれるらしい。


再び抱き締めてきた彼女の背中に手を回す。


唇を重ねながら、彼女の服の中に手を滑り込ませていく。


彼女の甘い匂い、甘い声は僕を狂わせていく。


そういう関係になるつもりはない、と言っていたのは取り消そう。
簡単に堕ちたところを見ると、どこかでそうなりたいと思っていたのだろう。


しかし服を脱げば彼女の傷やあざが目立つ。


「……綺麗じゃなくて、ごめん……」


僕がそれに気を取られていることに気付き、彼女は謝った。


僕はあえてあざにキスをする。


「これは君のせいじゃない。僕からすれば、君は十分綺麗だ」


彼女の瞳から雫が落ちる。


「……ごめん、嫌ならやめよう」


僕は彼女から離れ、彼女に背を向ける。


だけど彼女は僕の肩を引っ張って、僕を倒す。
そしてそのままキスをされた。


「嫌じゃない。嬉しかったの」
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