妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 エルシーがグラスを二つ用意し、果実酒を注いでくれる。

 フィンラスとカテリアーナはグラスを持つ。

「成人おめでとう、カテリアーナ」
「ありがとうございます、フィンラス様」

 グラスを軽くぶつけると、高く澄んだいい音がする。

 カテリアーナは一口果実酒を飲む。爽やかな甘酸っぱさの中に少し苦みが混じった果実酒は芳醇な味だ。

「美味しい」
「それはよかった」

 楽しみながら果実酒を味わっていると、フィンラスから話が切り出された。

「明日からのことだが、カテリアーナには妃教育を受けてもらうことになる。王族としての教育はクローディアから受けているとは思うが、人間と妖精の国では異なることもあると思う」
「はい。わたくしも妖精のことをいろいろ学びたいと思っております」
「三ヶ月後には各種族の国を訪問することになる。カテリアーナの披露目をするためにな」

 王族が結婚する時、先に伴侶の披露目をするのが妖精の国の習わしだ。各種族の国を訪問して挨拶をする。フィンラスとカテリアーナの成婚の儀は早くても半年後になるという。
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