妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 まだ王妃ではないのだが、カテリアーナを妃殿下と呼ぶ侍従はサファイヤに一礼すると、息を吸う。

「女王陛下! 何度申し上げたら分かるのですか? 女王自ら客人を出迎えるのはお控えください! 先日、暗殺されかけたのをお忘れですか?」
「今回の客人は友好国の国王だと分かっているではないか。固いことを申すな」

 サファイヤは侍従から目を逸らす。

「そういう意味ではありません。はあ。もういいです。まずはお客様をご案内しませんと」

 侍従は頭を抱えると、フィンラスとカテリアーナを部屋に案内するべく先導する。フィンラスは気苦労が絶えないであろう侍従に話しかけた。

「サファイヤ殿は相変わらずだな」
「全くです。いくら言っても自重してくださらないのです」

 カテリアーナはパールを思い出す。パールは身を挺してカテリアーナを庇ってくれた。サファイヤもそういうタイプなのだろうか? 身を挺して国民を守ろうとする女王。

「ところで暗殺されかけたというのは?」
「陛下がオーガスタ商会の会頭を見送られた後のことです。突然賊に襲われたのです。幸いすぐ取り押さえられましたが」
「賊はなぜサファイヤ殿を狙ったのか吐いたか?」
「それが、耳障りな声をしたフードの男に唆されたと言っております」

 それを聞いたフィンラスとカテリアーナは顔を見合わせる。
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