妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 レイナードは人の良さそうな笑みをカテリアーナに向ける。

「オルヴァーレン帝国は北の国ですので、冬は雪が降ります」
「雪ですか? 見たことがありません」

 温暖なラストリア王国には雪が降らない。カテリアーナは生まれてこのかた雪を見たことがないのだ。

「ラストリア王国は雪が降りませんからね。そういえば、オルヴァーレン帝国にはカテリアーナ姫の姉君が嫁がれていましたね?」
「そうですね」

 カテリアーナの姉アデライードはオルヴァーレン帝国の第二皇子グリージオに嫁いだのだ。アデライードにはさんざん虐げられたが、それでも姉に違いない。幸せになってくれるといいとカテリアーナは願っている。

「レイナード様は姉の結婚式をご覧になりましたか?」
「婚礼祝いの品は届けさせていただきましたが、私めはその時エルファーレン王国に向かう途中でしたから、見ておりません。残念です」

 レイナードの眉尻が残念そうに下がる。

 それから、サファイヤとフィンラスとともにレイナードの旅を話を聞いて、夜は更けていった。
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