妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
 今まで自分のわがままを聞いてくれた父に願いを拒否されたことでアデライードの頭に血が上る。

「お父様はあれが『取り替え子』ではなく実の娘だというのですか! それに姉が妹を訪ねるのに不都合があるとは思えませんわ!」

 カテリアーナを『取り替え子』という一方で妹と呼ぶ。怒りで言葉の矛盾に気づいていないアデライードに国王はため息を吐く。

「そなたにオルヴァーレン帝国から縁談の話がきておる。相手は第二皇子グリージオ殿だ」
「え?」

 オルヴァーレン帝国はラストリア王国の北隣の国で大国だ。第二皇子グリージオは今年十七歳で皇太子ユージオの補佐役をしており、優秀で名高い。容姿も整っていると、自分の取り巻きである宰相の令嬢から聞いたことがある。

 それを聞いたアデライードは癇癪がおさまり、頬を赤く染める。

「それは本当ですの? お父様」
「もちろんだ。来月オルヴァーレン帝国でそなたとグリージオ皇子の顔合わせが予定されておる。私はともに行けぬが、ラグネヴィアが代わりに行く」

 ラグネヴィアとはアデライードの母。ラストリア王国の王妃だ。

「まあ! それでは急いでドレスを新調しないと! お父様、失礼いたしますわ」

 父に礼をすることも忘れ、アデライードは執務室を飛び出していく。

「これでカテリアーナに構う暇はあるまい。カテリアーナが成人前に死んでしまっては困るのだ。大切な駒だからな」

 国王は机に肘をつくと、ふうと安堵の息を吐いた。
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