妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~
「今夜の夜会で着るドレスや装飾品は用意されていないのだろう? これらを身に着けるといい。カティへ俺からの贈り物だ」
「でも、こんな高価な品をいただくわけにはいかないわ」
「ならば貸しということしよう。エルファーレン王国へ来る際にお返しをしてくれればいい」
「分かったわ。いつかエルファーレン王国へ行った時には働いてお返しをするわ。ありがとう、ノワール。正直困っていたところなの」

 カテリアーナはノワールの好意を受け取ることにする。

「ところでエスコート役はいるのか?」
「ええ。王国騎士団長のご子息がつとめてくれるらしいわ。元わたくしの護衛騎士だった方よ」

 王国騎士団長はストリングス侯爵家の当主である。ストリングス侯爵家の次男であるアイザックは離宮でカテリアーナの護衛騎士をしていた。

 塔に閉じ込められてからは彼の消息は聞いていない。それどころか離宮に仕えていた使用人たちがどうなったかもカテリアーナは知らない。
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