冷たい海
縞目の浜の洞窟前でその中の様子を見た。やはり思っていた通り。懐中電灯で照らす限り、洞窟にはゴツゴツとした岩がゴロゴロと転がっていた。
「わぁ。これじゃあ、車椅子では行けない……」
美夏は茫然として洞窟の中を見つめていた。
しかし僕はそっと屈み、彼女の膝と背中に腕を回した。
「きゃっ! ちょ、ちょっと。涼平兄ちゃん?」
「いいから。ちょっと、じっとしてて」
僕が膝を伸ばして直立すると、彼女は上半身を起こして抱きかかえられる形になった。
「今日は僕が美夏の足になる」
僕はそう、力強く彼女に言った。
すると、その場は暫しの静寂に包まれて。
「涼平兄ちゃん……」
やがて発せられた彼女の声には、微かに涙声が混じっていた。
僕は美夏を抱きかかえながら洞窟の中、恐る恐る足を進めた。
「お姫様抱っこって、こんな感じなんだぁ。初めてで、すっごい面白い!」
彼女が右手に持った懐中電灯をブラブラ揺らして、足元の灯りが不安定になった。
「いいから、ちゃんと懐中電灯で足元照らして!」
『お姫様抱っこ』なんて言葉の響きが照れ臭くて、つい僕の口から照れ隠しがでてしまった。しかし、彼女はそっと僕の肩に左腕を回した。
「私……立てなくなって、不幸だと思ってたけど。悲しいことばかりじゃないんだね」
「どういうことだよ」
僕はゴツゴツした足元に気をつけながら尋ねた。
「わぁ。これじゃあ、車椅子では行けない……」
美夏は茫然として洞窟の中を見つめていた。
しかし僕はそっと屈み、彼女の膝と背中に腕を回した。
「きゃっ! ちょ、ちょっと。涼平兄ちゃん?」
「いいから。ちょっと、じっとしてて」
僕が膝を伸ばして直立すると、彼女は上半身を起こして抱きかかえられる形になった。
「今日は僕が美夏の足になる」
僕はそう、力強く彼女に言った。
すると、その場は暫しの静寂に包まれて。
「涼平兄ちゃん……」
やがて発せられた彼女の声には、微かに涙声が混じっていた。
僕は美夏を抱きかかえながら洞窟の中、恐る恐る足を進めた。
「お姫様抱っこって、こんな感じなんだぁ。初めてで、すっごい面白い!」
彼女が右手に持った懐中電灯をブラブラ揺らして、足元の灯りが不安定になった。
「いいから、ちゃんと懐中電灯で足元照らして!」
『お姫様抱っこ』なんて言葉の響きが照れ臭くて、つい僕の口から照れ隠しがでてしまった。しかし、彼女はそっと僕の肩に左腕を回した。
「私……立てなくなって、不幸だと思ってたけど。悲しいことばかりじゃないんだね」
「どういうことだよ」
僕はゴツゴツした足元に気をつけながら尋ねた。