冷たい海
「暗い……ままだな。海蛍、光ってくれないのかな」
僕は意識的に話題を変えた。彼女の言葉に鼓動が跳ね上がったのを誤魔化したかったから。それに、分かっていたから。従兄妹同士のそんな想いは一般的には受け入れられない禁断のものだということを。
すると彼女はくすっと笑った。
「ううん。海蛍はね、何か刺激を受けないと光らないみたいよ」
「刺激?」
その瞬間。彼女の口から透き通った歌声が流れ出た。それは洞窟の中の空気を震動させて、微かに冷たい海の水を震動させた。そして海面は徐々に……僕達の足元から、まるで波紋となって広がるように青白く光を放ち始めたのだ。
「すごい、綺麗……」
僕の口からその言葉が漏れた。
その美しい光は徐々に広がってゆき、洞窟全体を青白く輝かせるかのようだった。その神秘的な光景に美夏の澄んだ歌声が相まって。まるで夢の中にでもいるかのような感覚になった。
「ここは……天国?」
本当にそう思った。もし夢の中にいるのなら醒めないで欲しかった。ずっと、この青白い光の中、美夏の歌声を聴いていたい。
「ねぇ、涼平兄ちゃん。降ろして」
「えっ?」
歌声の代わりに放たれた美夏の言葉で、僕は我に返った。
「だって、重いでしょ?」
言われてみれば、ずっと美夏をお姫様抱っこしていた腕はだるく、感覚を失いかけていた。しかし、そんなことさえも忘れてしまうほどに、僕は海蛍の美しい光に……そして、美夏の神々しいほどの歌声に魅せられていたのだ。
僕は意識的に話題を変えた。彼女の言葉に鼓動が跳ね上がったのを誤魔化したかったから。それに、分かっていたから。従兄妹同士のそんな想いは一般的には受け入れられない禁断のものだということを。
すると彼女はくすっと笑った。
「ううん。海蛍はね、何か刺激を受けないと光らないみたいよ」
「刺激?」
その瞬間。彼女の口から透き通った歌声が流れ出た。それは洞窟の中の空気を震動させて、微かに冷たい海の水を震動させた。そして海面は徐々に……僕達の足元から、まるで波紋となって広がるように青白く光を放ち始めたのだ。
「すごい、綺麗……」
僕の口からその言葉が漏れた。
その美しい光は徐々に広がってゆき、洞窟全体を青白く輝かせるかのようだった。その神秘的な光景に美夏の澄んだ歌声が相まって。まるで夢の中にでもいるかのような感覚になった。
「ここは……天国?」
本当にそう思った。もし夢の中にいるのなら醒めないで欲しかった。ずっと、この青白い光の中、美夏の歌声を聴いていたい。
「ねぇ、涼平兄ちゃん。降ろして」
「えっ?」
歌声の代わりに放たれた美夏の言葉で、僕は我に返った。
「だって、重いでしょ?」
言われてみれば、ずっと美夏をお姫様抱っこしていた腕はだるく、感覚を失いかけていた。しかし、そんなことさえも忘れてしまうほどに、僕は海蛍の美しい光に……そして、美夏の神々しいほどの歌声に魅せられていたのだ。