冷たい海
箏奏を終え、聴衆の皆が夢から醒めると同時に僕は現に引き戻された。それは、直視するにはあまりにも酷で。しかし、愛する彼女の為にも確りと向き合わなければならない現実だった。
僕は震えていた。体中が小刻みに、ガクガクと。それは彼女を失ってしまった……そのことを自らが確認することへの恐怖。しかし僕は、自らの手で触れ、目で見て確認しなければならなかった。
僕は相棒であるはずの箏さえも忘れて演奏会場を出た。怖い……彼女と対面するのが。だけれど、ほんの僅か。ほんの僅かだけ、僕の胸には希望もあった。それは彼女が呼吸をやめないでいてくれるという、微かな希望。僕はただひたすらにそれに縋り、病院の階段を駆け上った。
「美夏……」
病室に入った瞬間、僕の頭は鈍器で殴られたような衝撃を受け、全身は感覚を失った。
僕が対面したのは、顔に白い布をかけられ冷たくなった美夏の姿だった。
心の何処かでは分かっていた。この微かな希望はきっと叶えられないだろうって。しかし、僕はやはりこの現実を受け入れたくなかった。
僕は震えていた。体中が小刻みに、ガクガクと。それは彼女を失ってしまった……そのことを自らが確認することへの恐怖。しかし僕は、自らの手で触れ、目で見て確認しなければならなかった。
僕は相棒であるはずの箏さえも忘れて演奏会場を出た。怖い……彼女と対面するのが。だけれど、ほんの僅か。ほんの僅かだけ、僕の胸には希望もあった。それは彼女が呼吸をやめないでいてくれるという、微かな希望。僕はただひたすらにそれに縋り、病院の階段を駆け上った。
「美夏……」
病室に入った瞬間、僕の頭は鈍器で殴られたような衝撃を受け、全身は感覚を失った。
僕が対面したのは、顔に白い布をかけられ冷たくなった美夏の姿だった。
心の何処かでは分かっていた。この微かな希望はきっと叶えられないだろうって。しかし、僕はやはりこの現実を受け入れたくなかった。