冷たい海
病院から出た僕は遥か彼方、西の水平線を見つめた。水平線に接する空を夕陽は鮮やかな紅色に染めており、それは空を暗く蝕んでゆく紺色に対して明確なコントラストをなしていた。
僕は思った。あの紅色は、彼女の血だ。内なる黒い病と闘った彼女の血。それは熱くて美しくて。彼女が自らを喰らう悪魔と懸命に闘った証なのだ。
だから、僕はあの時の彼女の願いを叶えなければならなかった。それが、いつものように病と懸命に闘った彼女への御褒美になるから。
そう。僕はもう一度、彼女にあの夢を見せてやらなければならない。僕の弾く箏奏に彼女の透き通った歌声が重なり、永遠の調べとなる。そんな、忘れられない美しい夢を。
僕は思った。あの紅色は、彼女の血だ。内なる黒い病と闘った彼女の血。それは熱くて美しくて。彼女が自らを喰らう悪魔と懸命に闘った証なのだ。
だから、僕はあの時の彼女の願いを叶えなければならなかった。それが、いつものように病と懸命に闘った彼女への御褒美になるから。
そう。僕はもう一度、彼女にあの夢を見せてやらなければならない。僕の弾く箏奏に彼女の透き通った歌声が重なり、永遠の調べとなる。そんな、忘れられない美しい夢を。