王子と社長と元彼に迫られています!
昨日、優悟はしばらく下げていた頭を上げると『・・・そろそろ行くわ。』と行って出ていった。

ローテーブルに置かれたマグカップは彼がここで使っていたものではなく『お客様用』のものだったけれど、中身は彼が好きなフルーツティーだった。一口だけ口をつけたまま残されていったそのカップの中身はすっかり冷めてしまっているのに、なんだか彼の熱い想いがそこに残っているように感じた。


昨日の優悟の告白はあまりに真っ直ぐ、重く、私の心に響いた。胸がいっぱいになるのと同時にお腹までいっぱいになってしまったのか、その後は缶詰のフルーツとアイスクリームくらいしか喉を通らなかった。

日曜日の今日は9持くらいに目が覚めてトイレに行ってお水を飲んでヨーグルトを食べて、ベッドにバタンしてダラダラしていた。本当は掃除をしなくてはならないのにやる気にならない。

目の前のローテーブルの上に置かれた、紬くんからもらった真っ白なノートパソコンでは先程から色々な動画が自動で再生されている。広告を飛ばす気にも、興味のない動画の視聴を辞める気にもなれない。というか、光と音が目と耳に入ってきていることはわかるのだが、どうやら私の脳はその内容を認識するのを放棄しているらしい。

紬くんや暁さんに告白されてもこんな風にはならなかったのに、どうしちゃったんだろう・・・そう思っていると、スマホが震えた。

確認すると、スマホの画面には『今、ちぃちゃんのマンションの前にいるよ♪』というメッセージが表示されていた。

───あれ?デジャヴ?前にもこんなことあったよね?

だるい体を起こして窓から外を見ると、白馬・・・ならぬ、白いバイクに乗った紬くんが笑顔で手を振っていた。

「やっほ♪今からお台場に行こうと思ってるんだけど、一緒に行かない?今面白そうなフードイベントやってるみたいなんだ。」

紬くんは自分の後ろをポンポンと叩いてから、可愛らしいピンク色のヘルメットを掲げて見せた。
< 112 / 203 >

この作品をシェア

pagetop