王子と社長と元彼に迫られています!
「今度はもっとゆっくり、肌を合わせたい。」

優悟は浴衣を脱ぐと横になり私を抱き寄せた。彼の肌の感触、骨格、匂い・・・その全てが愛おしく、それこそが自分にとってしっくりくるものなのだと改めて実感する。

「・・・そのヘアクリップ、千咲の姫みたいな部屋着に合うと思ったんだけど・・・あの部屋着姿、社長にも見せちゃったんだよな・・・あ~っ!やっぱり悔しい。」

優悟はそう言って起き上がると私に覆い被さってきた。下着が取り払われる。

「ごめんね・・・。」

「あいつらのこと千咲の中に1%も残らないように、俺でいっぱいにしたい。」

先程は手だったけれど今度は唇で私の全身を塗り替えるようにくまなく触れていく。あちこち吸っては離してを繰り返してから、満を持した、とでもいうように全身を巡ってきた熱い唇で私の唇に触れる。

そして次は舌の出番だった。咥内をすっかり彼色に塗り潰した優悟の舌は、上半身と下半身の敏感な部分をまるで作品の最後の仕上げをするかのように慎重に丁寧に色づけた。

「・・・優悟、私、もう・・・。」

体の外だけじゃなく中も、頭のてっぺんからつま先まで全部優悟で満たされているのに、全身がさらに貪欲に彼を求めている。まるで底無しだ。

「風呂入ったのにベタベタになっちゃったな。これからもっとなるけど。」

そう言って優悟が触れたのは二の腕だったのにそれだけでピクッと反応してしまった。

「可愛い、千咲、好きだ・・・。」


再び繋がった私達はこの一ヶ月ばかりか付き合っていた3年間を新しい二人の色で塗り替えるかのように愛し合った。彼のことも自分自身のことも『淡白』だと思っていたが、二人とも内に獣を秘めていたようだ。あまりにも夢中で、羞恥心も疲れも何も感じなかった。心の中にある『優悟が好き』というシンプルな気持ちに衝き動かされ、何も考えずに体が動いていた。

1月なのに汗だくになり髪も顔もぐちゃぐちゃになった状態で二人で頂上の景色を見た。見たこともないような眩しく美しい光に包まれた瞬間、意識が弾け飛んだ。優悟が何かを言ったような気がしたけれどその言葉を認識することは出来なかった。けれど彼の声の優しく甘い響きが耳に残っていた。
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