受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 そうなってくると、少々デザインが凝っている、巷では「かわいい」と人気の早馬部隊専用の軍服が一番かわいい格好と言えなくもない。
 早馬部隊の制服は、貴族の乗馬服をモデルにしたデザインだ。
 深緑色のぴったりとしたジャケットに同色の乗馬用ズボン、それを覆い隠すように長尺のスカートを合わせた女性用の軍服は、「レーヴに勿体ない」とよく言われる。

 そんなレーヴの興味は、もっぱら食に向かっている。
 休日ともなれば早朝からせっせと小麦粉をこね回し、パンを焼く。
 白い粉を頬につけたまま外を歩くことなんて、よくあることだ。

(うーん……任務の内容に予想がつかない)

 彼らは、レーヴに何を求めているのだろう。
 早馬部隊の仕事は気に入っているし、できれば異動したくない。

 そもそも、魔獣やら獣人やらの知識は『存在している』程度しかないのだ。
 今聞かされている内容も、初耳のことばかり。
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