受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
「あなたに恋をした魔獣がいます。名前は、デューク」

「デューク」

 深い森をイメージさせる名前だ。
 なんとなく、黒々とした獣を想像させる。

「不本意でしょうが、あなたに拒否権はありません。これは命令です」

 マリーの言葉に、レーヴは鼻に皺を寄せた。

(最悪だ。いつ消滅するかわからないような生き物を押し付けられた。しかも、相手は元魔獣の獣人さん。しかも、私に恋をするような変なヤツ!)

「明日からデュークをあなたの家へ通わせます。いいですね?」

 いいですねも何も、命令なら頷くしかない。
 拒否すれば、軍の規則に則って処罰がくだされるのだから。

「了解、しました」

 レーヴは訓練学校で嫌と言うほど体に覚え込まされた通り、素早く立ち上がって敬礼するしかなかった。
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