受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 ふと視線を感じて見上げれば、どことなく残念そうな色を滲ませた目と合う。
 けれどそれはほんの一瞬のことで、何気ないそぶりでフイッと視線を外された。

(目を、逸らされた……?)

 デュークはいつだって、レーヴの目を見て接してくれていた。それこそ、初対面の馬の姿をしていた時からだ。
 思いの丈が込められた甘くやさしい視線は、時にいたたまれなくて、でも安心感を与えてくれる。
 それなのに今は、すれ違っているように思えてならない。

(何の前触れもなく消息を絶ってしまったから、無責任だと見放されてしまった……? それとも、今になって私のことが好きではなくなった? だからデュークは、馬の姿になってしまったの?)

 わからないことだらけだ。
 それでもなんとかデュークと目を合わせて話をしたくて、レーヴは懸命に言葉を言い連ねる。
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