受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 とはいえ、デュークがレーヴにしてきたことを考えると、どっちもどっちな気がしてくる。

「……は!」

 いかんいかんとレーヴは頭を振った。
 任務に集中と思った矢先に考えてしまうなんて、重症である。

 自制心のなさに閉口しているレーヴの下で、デュークもまた、似たようなことを考えてもだえているなんて彼女は知らない。
 馬は、牝馬の発情で牡馬の発情が促されるのだ。レーヴがその気になれば当然、デュークもその気になる。

 レーヴが「あの時思い出していればっ……!」と後悔するのは、その夜のことだった。
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