受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

11

 翌日。
 昼過ぎになってようやく動けるようになったレーヴは、馬車に乗って帰国することになった。

 大使館が用意してくれた馬車の乗り心地はとても良さそうに見える。
 レーヴが気にしているちょっと大きめなお尻も、優しく受け止めてくれそうなふかふかの座面──なのにレーヴはその座席に座ることを許されず、デュークの膝の上に座らされていた。

「かたいんですけど」

 当然だが、細身で筋肉質なデュークの膝はやわらかくない。もういっそレーヴの膝にデュークを乗せた方が快適なのでは、なんて投げやりな気持ちになってくる。

「しんどい」

 すぐそばにあるデュークの顔は、ツヤツヤと輝かんばかりだ。
 わかりやすく、彼は満たされた表情をしている。レーヴなんて、下半身どころか全身重だるくて仕方がないのに。
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